後宮の烏2 あらすじ
霄の国の後宮に生きながら、決して帝が渡らない、そして帝にひざまずくことのない特別な妃・烏妃。
烏妃はひとりで生きねばならない。どこにも行けず、何も望まず。
それが先代の烏妃からの言いつけであるが、当代の烏妃である寿雪は言いつけに背いてしまっていた。
侍女の九九(じうじう)、宮女の蘇紅翹(そこうぎょう)、護衛の宦官・温螢(おんけい)・・・
徐々に周囲に人が増えていくことに戸惑う寿雪のもとへ、引き続き様々な相談事が持ち込まれる。
烏妃を支配する烏蓮娘々(うれんにゃんにゃん)とは何なのか。 烏蓮娘々が恐れる「梟(ふくろう)」とは誰なのか?
謎が深まる中華風ファンタジー、後宮の烏シリーズ第2巻。
後宮の烏2 感想
※第1巻のネタバレを含みますのでご注意ください。
第1巻のラストで、王朝の成り立ちと、帝と烏妃の関係などがざーっと明かされて、へぇぇそういうこと、と収まりよく締めくくられたのに続く第2巻。
1巻と同じように連作短編の体裁をとり、ひとつひとつ幽鬼にまつわる事件を解決しながらも、世界の大きな謎がさらに深まっていく、という展開です。
第1巻では寿雪が知っていて帝が知らない謎が明らかになりましたが、第2巻では、寿雪さえ知らなかった謎が開かれていきます。
単なる信仰の対象として漠然と祀られていると思っていた烏蓮娘々がにわかに実体を持った存在として迫ってきたのが予想外でした。
烏妃である寿雪は、その率直で帝に対しても謙らない物言いから、ともすれば忘れそうになりますが、彼女はまだ16歳。
なにも望まず、ただ1人で生きることを強いられていた彼女の周りにいつのまにか人が増え、誰かと生きることを知った彼女が、もう1人にはなれないと焦りと共に噛みしめる姿に胸が痛みます。
徐々に開かれていく謎は寿雪のさらに過酷な運命を予見させ、それを1人ではなくなった彼女と、帝をはじめとする周囲の人々がらどう乗り越えてゆくのか、先の展開が気になります。
作者の白川紺子氏、さすがラノベ系作家というと語弊がありそうですが素晴らしい執筆ペースなので、どんどん続きが読めそうなのも嬉しい限りです。