氷菓(古典部シリーズ1・米澤穂信)あらすじと感想

氷菓(古典部シリーズ1)あらすじ

折木奉太郎は高校1年生。「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」をモットーに生きる超省エネ主義。

薔薇色ならぬ灰色の高校生活を満喫すべく、神山高校に入学、当然のように帰宅部の予定だったが、インドから届いた姉・供恵の手紙にしたがって(半ば脅されて)古典部に入部する。

廃部寸前で部員0と聞いていたのに、初めて行った古典部の部室にはすでに先客が・・・千反田えるがいた。

千反田えるの強すぎる好奇心に引きずられるように、いくつかの小さな謎を解決した奉太郎は、千反田えるに見込まれて、彼女がどうしても解きたい謎、古典部に入部することになったそもそもの出来事について打ち明けられる。

33年前、ここ神山高校で、そして古典部で、いったい何があったのか・・・?

米澤穂信氏のデビュー作にして、「古典部シリーズ」第1作

氷菓(古典部シリーズ1)感想

米澤穂信氏の代表作といえば、「古典部シリーズ」か「小市民シリーズ」か・・・いずれも主人公が学生の「日常の謎」系のミステリー作家というイメージでしたが、近年は作風が広がってきた感じがします。

本作「氷菓」は「古典部シリーズ」の第1作にして、米澤穂信氏のデビュー作です。

省エネ主義を掲げ、灰色の学生生活を自ら望んで送るような主人公・折木奉太郎と、好奇心の申し子のヒロイン・千反田えるが出会うことから始まる、ボーイミーツガールな学園ミステリ。

いわゆる「日常の謎」を追うものなので、ミステリ―といってもガチガチのトリックなどがあるわけではありません。

「古典部」という部活もマイナーだし、地味な文科系部活っぽいし、主人公は灰色主義だしと一見派手な要素はないはずなのに、紡がれていく他愛ない日常は瑞々しく、大人になってしまった私にしてみれば懐かしささえ覚えます。

友達となんとなく集まっていた放課後の教室、意味がある様で特にない会話、気になること、将来のこと、誰かが誰かを好きだとか付き合ってるとか。

そういう空気感が、押しつけがましくもなく、それでいて鮮やかに展開されていくのが非常に好ましい。

そうそう、高校時代ってこんなだったよなぁ、とか、こんな高校生活やってみたかったよなぁ、とか、そういう気分にさせられまます。

主人公・奉太郎とヒロイン・千反田、同じ古典部の福部里志と伊原摩耶花、ほぼこの4人で展開していきますが、それぞれにキャラがかなり立っています。

会話文の割合がかなり多く、セリフの応酬で物語が進んでいく部分もあるのですが、それぞれの口調がかき分けられているので、疑問もなくするすると読み進めることができます。

文章は軽快、さほど長い物語ではないため、軽めのエンタテイメント小説として読みやすく、小説シリーズとしてもともと結構人気だったのですが、やはり、目をつける人はつけるものですよね。

小説刊行から12年も経ってからアニメ化されて非常に人気が出て、今やむしろアニメのほうが有名なのかもしれません。

とにかく「古典部シリーズ」はここから始まります。2001年に刊行なので少々古さを感じるところもありますが、内容の面白さには影響ありません。おすすめの青春ミステリです。

「氷菓」の映画化についてはこちらです

映画「氷菓」の原作読者による感想・レビュー(ネタバレあり)|私、気になります!
米澤穂信氏原作の「古典部シリーズ」の第1作、「氷菓」が2017年、山﨑賢人さんと広瀬アリスさんのダブル主演で実写化されています。2020年6月現在、Amazonプライムで見ることができます。原作読者からみた映画版の感想と、気になった点などま
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