富豪刑事(筒井康隆)あらすじと感想

富豪刑事 あらすじ

強欲で成り上がり者の大富豪の父を持つ神戸大助は刑事。キャデラックを乗り回し、1本8500円もするハバナ製の葉巻を愛好するといういかにもなライフスタイルで、「富豪刑事」と呼ばれている。

神戸大助は、その有り余る実家の財力を武器に、まさに湯水のように金を使うことで色々な事件を解決していく。

いかにも大金持ちの御曹司という見た目でありながら、妙にシャイで人のよさそうな神戸大助と、クセの強い同僚刑事たちが織り成す4編の連作短編ミステリー小説

富豪刑事 感想

筒井康隆氏と言えば代表作は「時をかける少女」とか「七瀬ふたたび」とか…と思い浮かびはしますが、実はちゃんと読んだことはありません。

私は基本的に「今」の小説が好きで、だから私の世代にとっては少し昔になる筒井康隆氏の作品に手を出す機会がなかったのですね。

今回、アニメ化されるということで原作が気になって読んでみました。これが、私にとってはおそらく初の筒井康隆作品でした。いろいろな意味で新鮮でした。

本作は4編からなる連作短編、主人公は成り上がりの大富豪を父に持ちながら、刑事になった神戸大助。

そんな大助が、それぞれクセのある同僚とともに、主に神戸家の私財をためらいもなくつぎ込むことで事件を解決していきます。

読み進めてまず気になったのは、情景描写のようなものがほぼないこと。登場人物の特徴や行動などの説明と会話文のみでほとんど構成されている感じです。

さらに気になった、というか非常に読み難かったのが、場面転換したらしきところでも、行を開けるなどの空白や章を変えるといったことが全くないこと。

文章が一定のペースでずっと続いているので、それに従って読み進めていきますが、途中途中でん?なんかおかしいな、と感じるところがあり、多くの場合は時間経過があったり主体となっている人物が変わっていたりします。

もっと違和感をおぼえる点もあります。

そのように間合いもとられずに続く文章の中で急に登場人物のひとりのセリフとして「さて、読者の皆さん。この小説は・・・」と不自然極まりなく説明させてみたり、地の分の続きとして何の前触れもなく、「作者はここから事件の概要を書いていくが・・・もともと本職のミステリー作家ではないので・・・」などとよくわからないコメントがさしはさまれたりして、小説の世界観をぶった切ってきます。

ちょっと読み難いな・・・とか思いつつも懸命に物語を追っているところで急に、「この小説はここから謎解きに入るんですけど、作者は本格推理ものを書くのは初めてだから・・・」だの、「複数のできごとを時系列ごとに書くのって無理だから、今からこんな感じに並べるけど、気になる様だったら・・・」だの、いきなり挟まれると、なんていうんですか・・・一気に興ざめする感がどうしてもありました。

これは筒井康隆氏の作風なのか、この「富豪刑事」独特のものなのか、はたまた昭和50年代前半の小説というのはこういう感じが普通なのかはわかりませんが、正直なところ私には合わなかったなぁ、という感じです。

ただ、筒井康隆氏の作品が数々、映像化されていたりもしますし、この富豪刑事も深田恭子さん主演でドラマ化(富豪刑事富豪刑事デラックス)され、今回はさらにアニメ化。

単純に私の好みの問題か、たまたま「富豪刑事」が合わなかっただけでは、という気もするので、また機会があったらほかの作品も読んでみようと思います。

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