後宮の烏(白川紺子)あらすじと感想

後宮の烏1 あらすじ

霄の国の後宮の奥に、決して帝が渡らないはずの漆黒の殿舎がある。そこには烏妃(うひ)と呼ばれる特別な妃が、ひっそりと隠れ住んでいる。

不思議な術を使う彼女に頼めば願いが叶う。閉鎖された後宮の奥で、妃や宮女の願いを叶えながら暮らしていた烏妃・寿雪(じゅせつ)の元へ、ある夜、来るはずのない時の皇帝・高峻が訪れて・・・

出会うはずのないふたりが巡り合ったことで、歴史が静かに動き出していた。

烏妃とは何なのか、なぜ彼女は後宮に住まうのか。

中華風ファンタジー、後宮の烏シリーズ、始まりの物語。

後宮の烏1 感想

後宮の烏は、集英社オレンジ文庫から出ている小説です。

集英社オレンジ文庫は、ライト文芸レーベルとのこと。つまりはラノベということにになるのでしょうか。

私は基本的にはラノベはさほど読まないのですが、十二国記を読んだ流れで東方風ファンタジーが目に止まって購入しました。

しばらく本棚に置いてあり、ふと何か軽いものが読みたいなと手に取ったのがこちら、後宮の烏です。

購入後しばらく手をつけずにいたこと、軽めの小説をと思って手に取った流れからいってもさほど期待をしてなかったのがわかると思いますが、読みはじめて良い意味で期待を裏切られたことに気付きました。

ラノベは私はあまり・・・と思いつつも、たまにこういう当たりを引くので、侮れないのです。

端正な文章、流れる雰囲気はどこか冴え冴えとしており、後宮という舞台の効果も相まって、静かな閉塞感があります。

後宮にあって決して帝のお渡りのない妃である、烏妃・寿雪(じゅせつ)は不思議な術を使って、後宮に起こる怪異や、人々の願いを一つずつかなえていきます。

物語の形式は1つの章で1つの事件を解決する構成ですが、ひとつひとつ事件を解決していくにしたがって、寿雪の秘密も少しずつ姿を現していく連作短編小説で、大きな物語としても楽しむことができる良作です。

物語の舞台は古代中国を思わせますが、中国ではない、架空の国・霄(しょう)

無表情な帝・高峻(こうしゅん)と烏妃・寿雪。高峻にいつも付き従っている衛青(えいせい)、寿雪の侍女となる九九(じうじう)・・・物語はずっと後宮の内部であり、出てくるのは妃と宮女、宦官ばかりという、割とクセの強い設定ですが、ライトノベルらしく文章が難解ではないため読みやすいです。

おそらくお嬢様、とかそういう意味で使われている各所で使われている娘々(にゃんにゃん)という呼びかけがなんとも愛らしいのです。

烏妃とは何なのか、寿雪はいったい何者なのか。そして・・・彼女が祀っている烏蓮娘々(うれんにゃんにゃん)とはいったい・・・?

1巻を綺麗に終えながらもいい感じに謎を引きずりながら2巻へ、という流れもうまいな、と思いました。

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